寂地峡目次
寂地峡について
寂地峡は、山口県岩国市錦町にある峡谷です。山口県最高峰の寂地山(標高1337m)に源を発する寂地川にあり、「犬房峡」と「竜ヶ岳峡」を総称して、寂地峡と呼ばれています。
多くの滝が入り組み美しい景観が続く寂地川流域は、西中国産地国定公園の三大渓谷の一つ。特に、五つの滝が連続する「寂地峡五竜の滝」は、環境省の「日本の滝百選」にも選ばれている名瀑です。
寂地山の頂きから滝へ流れる水は、湧水量の多さと水質の良さで「日本の名水百選」に選ばれるほど。
清流には、アマゴやイワナなどの川魚が生息しており、五竜の滝の一つ「龍尾の滝」の横には名水「延齢の水」もあります。奇岩怪岩の変化に富んだ美しい風景を展開する寂地峡の渓流は、心が洗われるような景色です。
そこから響くせせらぎの音を聞きながら、緑の森を歩けば気分爽快!木漏れ日の中森を吹き抜ける風は気持ち良く、空気の美味しさを実感できるはずです。
そんな寂地峡の自然を間近で楽しみたいならトレッキングが、自然の中でのどかな時間を過ごしたいならキャンプがぴったり。寂地峡の大自然を満喫できる、それぞれの楽しみ方をご紹介します。
・寂地峡トレッキング
寂地峡案内所(12月1日~3月31日は閉鎖)からスタートするハイキングコースがお勧めです。A~Dの難易度と所要時間別のコースがあるので、自分にあったコースを選びましょう。往路と復路で別のコースを選ぶこともできます。
Aコース 所要時間約:40分
寂地峡の案内所やキャンプ場の近くにある「宇佐八幡宮」を回るコース。樹齢1000年を超える「宇佐の大杉」は天然記念物に指定されており、見ごたえたっぷり!神社ではおみくじを引くこともでき、のんびり散策したい方にぴったりのコースです。
Bコース 所要時間:50分
「五竜の滝」を回るコース。「龍尾の滝」から始まる5つの滝を遊歩道から間近に見ることができます。大迫力の滝の他、10ヶ月かけて手のみで掘ったという頂上付近の「木馬トンネル」も見どころです。
Cコース
龍岳観音と木馬トンネルを通るコースがあったのですが、現在は落石のため通行止めとなっています。
Dコース 所要時間:10分
寂地峡入口からすぐそばの、オートキャンプサイトやログハウスなどがあるコース。歩く距離も短く平坦な道なので、小さなお子さんがいる方にお勧め。気軽に自然を感じられるコースです。
気軽にできるハイキングコースをご紹介しましたが、もっと本格的にトレッキングを楽しめる、寂地峡から寂地山にアクセスする登山コースもあります。
寂地峡入口からキャンプ場を通り、「五竜の滝」を見つつ寂地峡を抜け、ブナやササの尾根「ミノコシ峠」から寂地山へとたどるコースです。寂地山の方まで歩けば、カタクリの群生地があります。疎らに咲く紅紫の花はその控えめさが魅力で人気があります。
見ごろは4月下旬~5月上旬なので、カタクリを目的にするならGWがベストシーズン。寂地山まで美しい景色が続きますが、登山は帰りのコースもあります。自分の体力とよく相談し、挑戦しましょう。
・寂地峡キャンプ
トレッキングで有名な寂地峡ですが、キャンプで大自然を満喫するのもお勧めです。寂地峡キャンプ場の開設期間は4月~11月。冬は利用することができませんが、市街地より気温が低く過ごしやすいため、夏の避暑地として最高の場所です。
市内との気温差はマイナス3~5度と言われ、水もとても冷たいので、市街地との差を実感できますよ。収容数はテントは約45張り、オートフリーも約8台収容可能。
グランピングこそできませんがロッジもあるので、しっかり宿泊も楽しめる施設になっています。テント、毛布、バーベキュー用品、調理用品などはレンタル可!
キャンプ場の入口にある「寂地峡案内所」では地元の特産品の他、新鮮な野菜や果物、飲料水等も販売されています。こちらの野菜や果物は、安くて美味しいと評判です。バーベキューをする際はこちらで購入してみてはいかがでしょうか。
新鮮な食べ物を現地調達できますし、必要最小限の荷物でキャンプができるのは嬉しいですよね。さらに驚きなのはその料金!路地のフリーサイトで一泊なんと1,040円、ウッドデッキはちょっと高く2,040円となりますが、それでも破格のお値段です。
さらに、サイト利用時間は午後3時から翌日午後2時までなので、後片付けに焦るなんてこともありません。ホームページも無く、予約は電話のみ。あまり知られていませんでしたが、実はとってもお勧めのキャンプ場なのです。
木漏れ日の下のんびり過ごすも良し、バーベキューや川遊びで賑やかに楽しむのも良し。キャンプ場の中を流れる寂地川のせせらぎを聞きながら、マイナスイオンたっぷりの大自然の中で過ごす一日は特別なものになるでしょう。
春から夏は新緑が美しく、秋は紅葉の名所でもあります。トレッキングもキャンプも楽しめる、寂地峡は自然を満喫したい方に是非お勧めしたいスポットです。
寂地峡の見どころ
木漏れ日が降り注ぐ木立の中を寂地川が流れ、キャンプ場の中だけでも素晴らしい景観の寂地峡。宇佐八幡宮やカタクリの花など見どころはたくさんありますが、何といっても一番の見どころは「寂地峡五竜の滝」!
「五竜の滝」は、落差約200mを連続して流れ落ちる5つの滝の総称で、「日本滝百選」にも数えられる寂地峡の名勝です。
キャンプ場からも見ることができますが、せっかくなので間近で見て帰りましょう!遠くから見ても美しい滝ですが、近くで見る渓流は流水が美しく、滝を囲む個性的な奇岩や岩屋も見ごたえがあります。
「五竜の滝」は上から順に「竜頭の滝」「竜門の滝」「白竜の滝」「登竜の滝」「竜尾の滝」。下から上へと水流に沿って整備された滝巡り用のトレッキングコースは、まさに竜の昇天のイメージです。
下から順に滝を見ていくと、竜の昇天に立ち会えるという訳ですね。寂地峡最大の見どころである5つの滝を、尻尾から頭まで順番に紹介していきます。
1.竜尾の滝
コース最初の「竜尾の滝」は駐車場から徒歩3分。「寂地峡五竜の滝」の石碑があり、そこから落差20mの「竜尾の滝」が見えます。上段15m、下段5mの段瀑です。キャンプ場から見えるのはこちらの滝ですね。
2.登竜の滝
「竜尾の滝」の脇の階段を上っていくと「登竜の滝」と滝つぼ「大乗淵」があります。まず「大乗淵」の素晴らしい水の色合いに目を惹かれますが、実は階段の途中が絶景ビューポイント!落差8mの「登竜の滝」とその先の「白竜の滝」を同時に見ることができます。
3.白竜の滝
「登竜の滝」のすぐ上が「白竜の滝」。階段を登ると、「白竜の滝」を近くで見るための脇道があります。落差は10m。岩の緑の苔と、流れ落ちる白く輝く水のコントラストが美しい滝です。
4.竜門の滝
さらにその先に進むと、「竜門の滝」があります。滝の手前に岩壁がせり出していて全景を見るのが難しい滝ですが、側面にある小道を進むと、そこから全景が見られるポイントがあります。落差18mの「竜門の滝」は寂地峡最大。迫力ある轟音とともに流れ落ちる滝は必見です。
5.竜頭の滝
そしてトレッキングコースは、遂に最上段にある「竜頭の滝」へ!登り口からこちらまでは約30分。落差14mの奥行のある滝で、こちらにも美しい滝壺があります。
エメラルドグリーンの滝壺に光が差し込み、キラキラと輝く様子は本当に美しく、これを見ているだけでも癒されますよ。滝巡りの途中には「五竜の滝」の他にも小さな滝が無数に点在しています。
水流の音がこだまする森を歩き、滝のそばでマイナスイオンをたっぷり浴びれば、日頃のストレスもすっきりします。ぜひ「寂地峡五竜の滝」でリフレッシュしてください。
寂地峡の付近
寂地峡でキャンプやトレッキングを楽しんだ後は、温泉に行ってみるのはいかがでしょうか。
寂地峡キャンプ場にも、綺麗に整備されたシャワールームはありますが、湯舟につかることはできません。トレッキングの疲れをどこかで癒したいと思っている方、キャンプ場のシャワーだけでは物足りないと思っている方には特にお勧め。
寂地峡付近の岩国市内には、深谷峡温泉と雙津峡温泉があります。大きなお風呂でゆったりのんびり、日常でたまった疲れも癒しちゃいましょう。
・深谷峡温泉 清流の郷 寂地峡より6.9km
日本屈指のラドン分有量を誇る温泉。透明で少しぬめりのある湯には、しっとりすべすべになれる美肌効果が。宿泊施設は清流深谷川沿いのコテージなので、周りを気にせずのんびり過ごせます。
・SOZU温泉(旧 雙津峡温泉・元湯 憩の家) 寂地峡より14.7㎞
地下1,000mから自噴する天然ラドン温泉。シャワー・カランなど全てのお湯が温泉で100%加温掛け流し。飲める温泉水もあります。
こちらは日帰り温泉ですが、すぐそばにある姉妹館・錦パレスで宿泊もできます。トレッキング後の夜はもちろん、キャンプの翌日に温泉に入って帰るのも良さそうです。
雙津峡温泉はちょっと距離がありますが、自分の好みや都合に合わせて選べるのも嬉しいですね。 森林浴と温泉で、心身ともに癒される1日になりそうです。
寂地峡へのアクセス方法
寂地峡がある山口県岩国市宇佐へ車で訪れる場合は、中国自動車道「吉和IC」から約15km、30分ほどの運転で寂地峡入口に到着する事ができます。
タクシーで向かう場合は、最寄り駅「錦町駅」から乗車し、やはり30分ほどで到着。
キャンプ目的の方は、車で向かう方がほとんどかと思いますが、寂地峡は山深い場所にあるのでドライブには注意が必要です。
キャンプ場自体は整備が行き届いているのですが、途中の道路は道幅が狭く、木々が張り出している箇所があるようです。脇道からの木でボディーを擦らないよう気を付けてくださいね。
公共交通で行く方は、「徳山駅」からJR岩徳線(上り・岩国方面行き)に乗車し「川西駅」で下車、その後「西川駅」から錦川鉄道の錦川清流線(錦町行き)に乗車し、終点の「錦町駅」まで向かいます。ここからは、岩国市の運行する生活交通バスを利用します。
「錦町駅」から高根線に乗り「高根バス停」で降車、そして最後、寂地線(深谷峡温泉・寂地登山口行き)に乗車し「寂地峡入口」で降車します。
ついに寂地峡に到着です!
以上が公共交通のアクセス方法ですが、生活交通バス「寂地線」は予約が必要です。予約が無い場合は乗車できないので注意してください!
事前予約は「広瀬タクシー」で取ることができます。第一便は当日の7:30まで、その他の便は出発の1時間前まで予約可能です。